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24 November

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16 November

THE 10 ESSENTIAL RAP MIXTAPES OF THE DECADE SO FAR (2010-2013)

 ミックステープとは何か? ヒップホップの歴史的な経緯まできちんと踏まえたい人には小林雅明氏の『ミックステープ文化論』を必携の課題図書にしておくとして、僕なりに圧縮させて言うと、ミックステープとは「無料のアルバム」のことです。なぜ無料なのか? それは、主に「デビュー前/直後の新人アーティストが、売名やプロモーション用にリリースしている作品だから」です。なぜ好き好んで無料で出すのか? それは、「周りもやっているから」です。それでアーティストへの経済支援になるのかって? なっているのでしょう、多分。ミックステープでモンスター級のダウンロード数を記録したラッパーは、それを手土産として大手のメジャー・レーベルとの契約に至るケースが少なくありません。
 もちろん、メジャー・レーベルとの契約だけを「上がり」にしているわけではありません。チャンス・ザ・ラッパーは、作品での直接回収は捨てて、ミックステープで得た人気をライブの動員につなげようとしている、なんてこともニュースになってました。いずれにせよ、Bandcampのように直接の支払いを行っていなくても、あなたが少しでも「話題にすること」がアーティストへの支援につながるのです。しかも、一義的には営利目的でリリースされている作品ではない(売り物ではない)ため、超有名曲のサンプリング等も黙認(?)されているケースが少なくありません。つまり、ヒップホップの重要な武器であるサンプリングの無法さを楽しむことができるのも、このミックステープというフォーマットなのです。
 しかも、そのクオリティは日ごと増しているというほかありません。例えば、『Pitchfork』が選んだ「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」では100作中の約10作が、『FACT』が選んだ「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」では、100作中のなんと約20作が、このミックステープというフォーマットで(つまり、無料で)公開された作品なのです。どんなジャンルでも一定の量の作品に耳を通してみないとそのジャンル特有の「ノリ」や「ルール」、楽しむ「コツ」のようなものは得られませんが、そういった意味では、この2010年代という時代は歴史上かつてあり得なかったほどに、ヒップホップへの入門支援体制が整った時代とも言えるのです。
 もちろん、アップロードされるミックステープをすべて聴くのは無理です。今回は、「ミックステープで名盤とされるものがどのようなクオリティの水準にあるのか」、あるいは「2010年代はどんなヒップホップが流行っているのか(流行ってきたのか)」をかいつまんで理解できるよう、「必須の10枚」を独断と偏見で選んでみました。序列は設けず、リリース順で淡々と並べています。画像をクリックするとなんとなく公式と判断されるリンクに飛ぶようになっています。現在は有料化されている作品も少なくありませんが、どれも一度はウェブ上でフリーで公開された作品ですので、申し添えておきます(伝われ)。
 今回は手始めに、ラップ・ミクステから10枚のセレクトです。シリーズは「R&B編」(*11月18日に公開しました。)へとつながる予定です。ビールでも煽りながら気楽に楽しんでください。


●Earl Sweatshirt - 'Earl' (2010.3.31)

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アール・スウェットシャツ。1994年生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルスのラッパー。ヒップホップ・コレクティブ<Odd Future>の一員。本作は、『Pitchfork』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」において98位に選出されている。また、『FACT』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」においても97位に選出されている。次作に関する『ele-king』でのレビューが参考になる。


●Danny Brown - 'XXX' (2011.8.15)
 
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ダニー・ブラウン。ミシガン州デトロイトのラッパー。本作は、『Pitchfork』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」において37位に選出されている。また、『FACT』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」においても73位に選出されている。次作に関する『サイン・マガジン』のクロス・レビューが参考になる。


●Main Attrakionz - '808s & Dark Grapes II' (2011.8.16)
 
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メイン・アトラクションズ。カリフォルニア州オークランドのデュオ。Mondre M.A.N.とSquadda Bにより編成。「インディー・ロックのセンスで聴けるヒップホップだ!」と話題に。詳しくはサマブリさんのブログを読んだり、関連bandcampを漁ったりしよう。なお、本作は『FACT』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」において45位に選出されている。


●A$AP Rocky - 'LIVELOVEA$AP' (2011.10.31)
 
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エイサップ・ロッキー。1988年生まれ、ニューヨークはマンハッタンのラッパー。ヒップホップ・コレクティブ<ASAP Mob>の一員。本作は、『Pitchfork』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」において84位に選出されている。また、『FACT』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」においても55位に選出されている。


●Action Bronson & Party Supplies - 'Blue Chips' (2012.3.12)
 
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アクション・ブロンソン。1983年生まれ、ニューヨークはクイーンズのラッパー。大食い。「まんまゴーストフェイス・キラやんけ!」とツッコミを受けながらも正統派なサウンドの本作でブレイク。ニューヨークの復活を決定づけた功績も大きいが、同時代のミクステで初めてハマった作品であり、個人的にも思い出深い一枚。<Fool's Gold>の超ゴキゲンなプロデュース・デュオ、Party Suppliesとの完全タッグというのも重要。


●CHIEF KEEF - 'Back from the Dead' (2012.3.12)
 
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チーフ・キーフ。1995年生まれ、イリノイ州シカゴのラッパー。トラップ以降のシカゴ(つまり、ドリル)を象徴する一枚。どこまでもバイオレンス。本作は、『FACT』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」において85位に選出されている。


●Le1f - 'Dark York' (2012.4.10)
 
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リーフ。1989年生まれ、ニューヨークはマンハッタンのラッパー。いわゆる<Queer Rap>のシーンの象徴的な一枚。アンダーグラウンドなビート・シーンへの扉を開いてくれたし、Arcaと出会う遠因ともなったように、個人的にも重要な作品。『ele-king』で他のミックステープを取り上げたが反応はイマイチだった。


●Joey Bada$$ - '1999' (2012.6.12)
 
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ジョーイ・バッドアス。1995年生まれ、ニューヨークはブルックリンのラッパー。現代の<Native Tongues>とでも言うべき、いわゆる<Beast Coast>の象徴的な一枚。これもリアルタイムでハマれた思い出深い超重要作。Madvillain的でもある。


●Young Thug - '1017 Thug' (2013.2.23)
 
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ヤング・サグ。1992年生まれ、ジョージア州アトランタのラッパー。Gucci Maneに続く、トラップ第二世代の象徴的な一枚。本作は、『Pitchfork』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」において96位に選出されている。また、『FACT』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」においても64位に選出されている。なお、このミクステ時の公式が見つからなかったので、試聴のサンクラは本作の収録曲ではないですが、一番有名な曲を貼っておきました。


●Chance the Rapper - 'Acid Rap' (2013.4.30)
 
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チャンス・ザ・ラッパー。1993年生まれ、イリノイ州シカゴのラッパー。ヒップホップ・コレクティブ<SAVEMONEY>の一員。本作は、『Pitchfork』の「The 100 Best Albums of the Decade So Far (2010-2014)」において56位に選出されている。また、個人的にも2013年の個人チャートで3位に選出した衝撃の一枚。現在、バック・バンドを編成してのニュー・アルバムを年内に間に合うスケジュールでリリース予定と報じられています。
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